「おはよう、ツナくん。」

「あ!さん。おはようございます。」

「今日は、遅刻じゃないんだね。」

「いつも遅刻してるわけじゃ・・・!!ないとも言いけれないけど・・・。」

「冗談だよ、冗談。」

「もう・・・。」


うん!今日はいい1日になりそうだ♪

今、一緒に登校している、この可愛らしい少年は、近所の後輩の沢田綱吉くん。
同じ学校に通ってて、私の1つ年下なんだよね。
・・・ちなみに、私たちはそれだけの関係じゃなかったりする。
もちろん、一緒に登校してるからって、付き合ってるわけじゃない。
だって、ツナくんは京子ちゃんのことが好きだもんねぇ?
なんてからかえば、すごく焦っちゃう、至って普通な少年なんだけど・・・。


“カチャ”


あれ・・・?何だか、日本では絶対に聞くはずのない音が聞こえたような・・・。

そして、前言撤回。

今日は、最悪な1日になりそうです・・・。


「・・・お、おはようございます。リボーンさん・・・。」

「ちゃおッス、。」

「ちゃおッス、じゃないよ!リボーン!!何、さんに“銃”なんて物、突きつけてんだよ?!」


現在、私は人様の家の塀に乗った、赤ん坊こと、リボーンさんに銃を頭に突きつけられています。
銃って、あの銃のことですよ?
引き金を引けば、弾丸と呼ばれる物が超スピードで飛んで、ものすごい殺傷能力がある、あの銃です。
ちなみに、これは玩具ではありません。本物です。
だから、本来なら、一般人が持てるはずはないんだけど。

そう、さっきも言いかけていたけれど。彼らは普通ではない。

まず、ツナくん。彼は将来、ボンゴレファミリーの10代目ボスとなる予定。
そうそう。このボンゴレファミリーっていうのは、マフィアのことですよ★
・・・えぇ、私は至って正常です。

そして、リボーンさん。彼は、そんなツナくんを10代目ボスにするために、いじめ・・・じゃなくて。特訓をしている、家庭教師のヒットマン。
・・・繰り返しますが、私は正常です。
でも、本当にリボーンさんは、すごい人らしい。だって・・・。


「10代目!!おはようございます!」

「よう、ツナ。あ、さんも、マフィアごっこっすか?」

「だから、“ごっこ”じゃねぇって言ってんだろ!」


彼らは同じクラスで、いつ見ても、3人一緒で、本当に仲がいいと思う。
でも。リボーンさん曰く、彼らもマフィアの一員で、将来的にはツナくんの部下になるらしい。

まず、獄寺隼人くん。彼は、ツナくんのことを「10代目」と呼んだように、ちゃんとマフィアだと理解している、自称10代目の右腕という、何とも不思議な少年。

そして、山本武くん。彼は、ボンゴレファミリーなどを“マフィアごっこ”だと思っているのに、なぜか特訓なんかしちゃう、さらに不思議な爽やか野球少年。

ツナくんから見たら、2人とも、仲のいい友達ってだけなんだろうけどね。


「そうだぞ。今日は、の特訓をする。」

「わ、私?!」 「さんが・・・?!」 「なぜ、コイツに?!」 「おもしろそうだな。」


みんな(1名除く)の言うとおり、どうして私が特訓をしなきゃならないの?!


「この間、向こうの情報と引き換えに、ってディーノに頼まれたんだ。」

「ディ、ディーノさん?!!」


やたら、ディーノさんという名に反応してしまった私。
それもそう。私は、ありがたいことに、すごく優しくて、(部下がいるところで、という条件はあるけれど・・・(笑)。でも、部下がいなくても、精神的な面で)すごく頼りになる、とても素敵なディーノさんというお方とお付き合いをさせていただいている。
そして、このディーノさんも・・・。


は、マフィアの女になる覚悟がねぇのか?」


さすが、リボーンさん。人の弱点をよくわかってらっしゃる・・・。
私がリボーンさんをすごい人だと知っているのは、ディーノさんから聞いたから。そう、今ではキャバッローネファミリーのボスのディーノさんも、昔はこのリボーンさんがカテキョーだったらしい。つまり、私とツナくんの関係は、同じ学校というだけでなく、マフィアとしての繋がりもある、ということになる。・・・嫌だな。そんな関係・・・。
とにかく、私はこんなこともあって、(たとえ、見た目が赤ん坊であっても)リボーンさんのことは「さん」を付けて、呼んでいる。
そんなリボーンさんに、私が逆らえるわけがない。それに・・・。覚悟なら。


「・・・あります。」

「よし!決まりだな。」

「ちょっと待てよ、リボーン!ディーノさんがさんをそんな無茶な目に遭わせるわけがないよ!さんも考え直して?」


本当に、ツナくんは優しい。だから、京子ちゃんとの恋もきっと上手くいくよ!(笑)
でも、その気持ちだけ受け取ることにするね。


「ありがとう、ツナくん。でも、大丈夫。私もディーノさんに、なるべく迷惑かけたくないから。それに、このリボーンさんが特訓をやってくれるって言うなら、やっておいた方がいいかなって。」

さん・・・。」

「お前より、よっぽど根性あるぞ、ツナ。」

「・・・わかったよ、リボーン。でも、俺もついて行くからな。」

「・・・好きにしろ。」

「10代目!俺もお供します!!」 「ハハ。何かおもしろそうだから、俺も行くぜ。」


こうして、私は、特訓をしてくださるリボーンさんに言われるまま、心配してくれた優しい後輩たちと共に、近くの公園へ来た。
そんな特訓前にも拘らず、私はかなり日常的な疑問を口に出してしまった。


「そういえば。これって、学校を無断欠席することに・・・。」

「安心しろ。雲雀に何とかするよう、連絡しておいた。」


あぁ、そうか。
並中の風紀委員長である、雲雀恭弥く・・・ん・・・じゃなくて、さん!!は、学校・・・どころか、この地域最強と謳われる人物で、誰も逆らえない。もちろん、大人の人でも、だ。だから、私達の無断欠席ぐらい、どうこうできるというわけ。でも、そもそも、並中大好きな雲雀さんが欠席なんて許してくれるわけがない。おそらく、リボーンさんが上手いこと言ったんだろうなぁ。・・・いや、上手いことと言うわけがないか。どうせ、後から私たちに災難が降りかかるんだろう・・・。
ちなみに、雲雀さんも、ファミリーの一員らしい。
でも、群れるのが大嫌いな雲雀さんは、そうは思ってないんじゃないかとか思うけど・・・。こうやって、勝手に考えるだけで噛み殺されそうなので、もう何も考えないでおこう。


「じゃ、特訓始めるぞ。」

「はい・・・!」

「ルールは簡単。所謂、“鬼ごっこ”と一緒だな。30分間俺から逃げること。ただし、この弾に当たってもアウトだ。」

「待て、リボーン!!そんなの危なすぎるだろ?!」

「安心しろ。実弾じゃない。」

「当たり前だ!それでも、当たったら、痛いだろ?!」

「当たらなければいいだろ。」

「そうは言っても・・・!!」


自分自身、危ない目に遭っている所為か(もちろん、それだけじゃなくって、ツナくんがとても優しいからっていうのもあるけれど)、ツナくんはすごくリボーンさんを怒ってくれた。
獄寺くんも山本くんも、ツナくんのようにリボーンさんに突っかかりはしないものの、心配な表情で、こちらを見てくれていた。
もう、本当にいい子たちなんだから・・・!!


「ツナくん、ありがとう。大丈夫・・・とは言い切れないけど、自分で言い出したことだから、頑張るよ。」

「でも、さん・・・!」

「心配してくれて、ありがとう。」


あくまで特訓をやるという私の意気込みに、ツナくんも観念して、ため息を吐いた。
なんだか、すごく罪悪感・・・。でも、やっぱり言い出したことはやりたいの。


「・・・仕方が無い。ツナ。には今から10秒やる。その間に、は何処かに隠れてもいい、という条件を付けてやる。それでどうだ。」

「・・・・・・わかったよ。でも、本当に無茶はするなよ?」

「わかってる。」


あのリボーンさんが折れた・・・!!やっぱり、ツナくんはすごいね!!


「ありがとう、ツナくん。」

さんも、無茶はしないでくださいね。」


あぁ、本当にいい子だなぁ・・・!!


「よし。じゃ、始めるぞ。」

「はい!」

「10 、 9 、 8 、 7 、 6 、 5 、 4 、 3 、 2 、 1 、 0」


意外と短い10秒間。
私が咄嗟に隠れたのは、木の陰。しかも、1秒前ぐらいに隠れたから、すぐにリボーンさんに見つかった。


“カチャ”


あ・・・。やっぱり、追いかけるつもりはないんだ、リボーンさん・・・。まぁ、それが特訓なんだろうけど・・・。
というわけで、私も形式上、リボーンさんの銃の方を向いた。
いや、弾の動きが見えるわけはないんだけど、そうしないと避けられないだろうし。・・・いや、絶対に避けられないけどね!だって、私は一般人だもの・・・!!でも、一応は!!
と、リボーンさんの方を見ていると、その後ろに突如、ある人が現れた。


「さすがのリボーンでも、俺のに手を出したら、承知しないぜ?」


そこにいたのは・・・。


「「ディ、ディーノさん?!」」


あまりの驚きに、私とツナくんは同時に、すごく大きな声で名前を呼んでしまった。


「よぅ。2人とも元気そうだな。」

「跳ね馬?!」 「!!・・・どうもっす。」

「2人も相変わらずだな。」

「ディーノさん・・・。どうして、ここに・・・?」

「リボーンに聞いてないのか?」

「リボーンさんに・・・?」


私(と言うか、その場のみんな)の疑問は、さらに深まった。
私たちは、私の特訓についてしか聞いていない。


「そうだ、リボーン。どうして、こんなことしてるんだ?」


しかも、その特訓について、ディーノさんは何も知らないみたいだし・・・。


「お前が頼んだんじゃねぇか。」

「俺が・・・?」

のことが心配だ、って言っただろ?」

「それだけで?!」


ツナくんの言うとおり、私もそう思ったよ・・・(でも、私はリボーンさんに逆らえないから、黙ってたけど)。


「まぁ、そんなとこだろうと思ってたぜ・・・。で、。大丈夫か?」

「は・・・い・・・。」

・・・!!」 「さん?!」 「お、おい!!」 「大丈夫っすか?!」


ディーノさんが来たという安心感と、もう特訓をしなくてもいいんだという解放感から、私はその場に座り込んでしまった。・・・と言うか、腰の力が抜けて、立てなくなってしまった。
そんな私を見て、みんなが心配して駆け寄って来てくれた。


「それほど、真剣に取り組もうとしてたんだな。」


しかも、リボーンさんにまで、こんなことを言ってもらえるとは!正直、驚いた(笑)。


「すみません・・・。突然、緊張の糸が切れたと言うか・・・。」

「立てるか?」

「はい、大丈夫です。それにしても、ディーノさん。どうしてこっちに?何かあったんですか?」

「いや、何もない。向こうも、こっちも何の問題もない。だから、に会いに来たんだ。」


そう言いながら、ディーノさんは私に手を差し伸べてくれた。・・・大丈夫ですって言ったのに。
だけど、正直嬉しくて、私は思わずその手を掴んだ。


「私に会いに・・・ですか?」

「そうだ。日本で何か事件があれば、こっちに来ることはできても、なかなかとは過ごせないだろ?だから、仕事のない今日、に会うために来たんだ。」

「そんな・・・。ありがとうございます・・・!」

に寂しい思いはさせたくないからな。・・・なんて、本当は俺が会いたかっただけなんだけど。」


少し子供のように笑ったディーノさんに支えられながら、私は立ち上がった。だけど、やっぱり、ディーノさんの手は大きくて、大人の男の人なんだなと感じた。


「ありがとうございます。」


今度は立たせてもらったことにお礼を言うと、ディーノさんがニッコリ微笑んでくれた。
・・・あぁ、なんてカッコイイんだ。本当、私は幸せ者すぎる・・・!!むしろ、こんな素敵な人とお付き合いなんかしてて、本当いいんですか?!いや、駄目だよ!!
なんて、自分の中で、勝手に浮き沈みをしてたら、ディーノさんがまた浮かれるようなことを言ってくれた。


はこの後、学校か?」

「えぇっと・・・。特訓をしないのなら。」

「いいって、いいって。俺、リボーンに頼んでないし。だよな、リボーン。」

「・・・まぁ、そういうことにしといてやろう。」

「サンキュ。じゃ、。学校終わるまで、俺待ってるからな。」

「・・・いいんですか?」

「当たり前だろ?」


そう言って、ディーノさんは、また微笑んでくれた。
本当、わざわざ日本に来ていただいただけでも、ありがたいのに・・・。なんて、嬉しいことを言ってくれるんだろう!
だけど、待たせることになってしまうのは・・・と、また沈んだ思考もしてしまった。


「すみません・・・。」


そんな私を見兼ねてか、突然、山本くんが、「あ。」と声を出した。


「でも、俺達、どうせ休むことになってたじゃないっすか?なら、このまま行かないってのも・・・。」

「そうだよ、山本!そうしましょう、さん!!」


そして、それにツナくんが賛同してくれた。


さんの特訓のために、リボーンが雲雀さんに、今日は俺達が休むって言ったみたいなんです。だから、ディーノさん。さんと久しぶりに遊びに行ってもいいと思いますよ!」

「恭弥に・・・?なるほど、そういうことか。・・・・・・じゃ、逆に学校に行けば、『休むって言ってたのに、なんで来たの?・・・もしかして、サボるつもりだった?』とか言われそうだな!」

「そうですよ!」


妙に、兄弟弟子(?)で盛り上がっている。そんな風景は、とても和むけれど・・・。


「よし。じゃ、どこか行きたい所はあるか、。」

「え?!・・・本当に行くんですか?」

「そのつもりだぜ?・・・ほら、向こうも見てみろよ。」


そう言われて、ディーノさんの視線の先を見ると。


「10代目!では、どこに行きましょうか!」

「野球でもしに行くか、ツナ。」

「それは、テメーのやりてぇことだろうが!!」

「それに山本、3人じゃ野球はできないよ。」

「それもそうだな。じゃ、ツナはどこ行きたい?」

「そうだなぁ・・・。」


なんだか、3人が相変わらず仲良さそうに話し合っているのが見えた。
あの中に割って入る気は、もちろん無いし。それに、さっきのディーノさんの言うとおり、1度休むと言っておいて、今更学校に行くのも、とても恐ろしい。
じゃあ・・・。


「・・・どこでもいいです。」

「行く気になったんだな。それにしても、どこでもいいって・・・。の行きたい所は無いのか?」

「ディーノさんと一緒に過ごせるなら、どこでもいいです。」

「嬉しいこと言ってくれるな。俺もとなら、どこでもいいぜ?・・・ま、久しぶりに会えたんだし、2人でまったり過ごすっていうのもアリかもな。」


ディーノさんは、そう言いながら、笑顔で私の頭を撫でてくれた。
・・・あぁ、やっぱり素敵すぎる。でも、この笑顔に嘘はない。本当にありがたいことに、ディーノさんも、私のことを好きだと思ってくれてるんですね!・・・って、今更か。こんなこと言ったら、怒られそうだ(笑)。

それと。

さっきの『前言撤回』を撤回しなきゃ。

今日は、やっぱり、いい1日になりそうです!













 

すみません。とりあえず、謝ります・・・(笑)。
いや、ディーノさんは前から好きだったんですけど、何だか徐々に好きさが増してですね・・・。ついに、夢を初書きしてしまいました・・・。

でも、ディーノさん含め、全員のキャラを掴めていません。もう、本当すみません・・・orz
いつかリベンジしたいです・・・!

('08/02/11)